ほったらかし温泉に行ってきた。
前からネーミングが気になっていて、一年越し。
以前は本当にほったらかしだったらしい。着いてみると脱衣所も風呂場もきれいだった。昔からの常連さんには、ほったらかしがよかった人もいるらしいが、僕は清潔なほうがいい。
山梨県の山の上にある。
富士山が見え、甲府盆地を見下ろす眺望。本来はそうらしい。晴れてはいたが、霞がかかって甲府盆地がぼんやりと見えるだけだった。
それでもひじょーに満足。
山の上の開放感は、猿にでもなったような気分になれる。
湯はまったりとして、ぬるめ。さほど長湯でもない自分でも小一時間はいた。
風呂を出て、一服しながら草花を眺める。
前にテレビで、山の上に住む年寄りを取材していた。買い物は不便だし、病気になってもすぐには助けてもらえない。役場はそんな年寄りのために、町に住宅を用意し、引っ越すように薦めていたが、年寄りはイヤがった。
その気持ちがすこし分かる気がした。
風呂上りに、勝手に生えている草花を眺め、風にあたって酒でも飲んだら極楽に違いない。その場で死んでもまあいいか、という気分になれそうだ。長年住み続けた家ならなおさらだろう。
ほとんど絶頂の幸福感を得て、帰途に着く。
帰りの運転で肩が凝ってしまい、寝不足もあって、ぐったりして自宅に着く。いまこそ温泉に入りたいと思う。
家の風呂に入るのがもったいなくて、酒を飲んでいたら床で寝てしまい、体が痛い。こういうのを貧乏性というのだろうか。